2020年8月1日(土)
宅配便あそびじゅつー考える箱
夏の「宅配便あそびじゅつ」楽しめたかな。どんなこと考えたかな。今も作品、見続けているかな。先生はみんなが、今、自分の作品とどんなふうにつき合っているか想像して楽しんでいます。できあがったと思った作品も、見ていると変えたくなるよね。こうすればよかったとか考えてしまうよね。そうしたらすぐに行動にうつそう。また作品をつくりはじめればいいんだよ。何回も挑戦して、何回も失敗して、考えることを続けると、どんどん素敵(すてき)が見えてくるからね。あきらめたらそこで終わっちゃう。終わらないことが大切なんだ。ヨーロッパの彫刻家でジャコメッティという人がいたんだけれど、細い針金のような人間をつくるんだけれど、彼はベネチア・ビエンナーレという大きな展覧会に招待され、賞を取ったけれども、作品がアトリエにもどってくると、その作品に手を加え出したというんだ。先生はこのエピソードが大好きなんだ。ほめられても、自分が納得しなければ、納得するまでつくり続けるということだよね。こういう挑戦、きみたちもやってみてね。そして「こんなに変わったよ」って見せてほしいな。それでは、また「あそびじゅつ」で会おうね。
参加された保護者の方へ
残念ながら、この夏は、こどもたちと集う通常の「あそびじゅつ」を行うことができませんでした。そこで考えたのが「宅配便あそびじゅつ」でした。美術を通してこのような状況でも、どうにか、みなさんと関わりたいという想いから出発しました。
どのような成果を上げることができるのか、暗中模索のなかでの出発でした。ふれること、見ること、つくることで、考えてもらいたいというのが「あそびじゅつ」の始まりです。上手にとか成功したとかではなく、「失敗」をしてもらいたいと考えていることも確かです。なぜならば、そこで「考えること」が生まれるからです。何かを行うときそこには、少なからず障害があります。障害を探すことも大切だということも覚えてほしいわけです。
関わりを持つということが、Zoomで満足がいくとは思えませんし、対面でできたことを、遠隔授業でそのままを実現することは不可能だということも、この数か月で思い知りました。また、パソコンの環境だって差があるわけです。でも、手をこまねいていては何も始まらないということは確かでした。そこでご家族のみなさんとこどもたちが会話をしながら、ともに考え、そして制作してもらうという方法を選択しました。本来の「あそびじゅつ」ではこどもたちだけの世界で、考え制作し、お友だちの作品を見て参考にし、あるいはスタッフや講師との会話のなかにヒントを見つけながら、自らの力で思考と制作を進めてもらっていました。今夏の「宅配便あそびじゅつ」ではそれらのすべてをご家族に行っていただいたわけです。
Zoomで行ったお話し会も、参加したこどもたちそれぞれとお話しすることで、こどもたちそれぞれの眼差しと嬉しい出会いを持ち、こどもの諸相の不思議と出会い、知ることができました。話すことの大切さが身に沁みました。
さてこれからが重要なところです。自分の作品に興味を持ち続けること、そしてお友だちの作品に目を向けることができるかどうかが、これから大切になります。鑑賞する楽しさがこどものなかに芽生えたとき、美術・芸術は大きなひろがりを持って、こどもの心を豊かにしていくでしょう。そのときお話を聞いてください。一緒に考えてください。おしつけではない対等な言葉で話しかけてください。お願いいたします。
講師: | 海老塚耕一(美術家、本学教授) |
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場所: | 参加者のご自宅(オンライン「おはなし会」もあり) |
対象: | 小学1~6年生 |
人数: | A:108名、B:102名、C:164名 |