2019年8月19日(月)
「かたちのおもしろさ、つくる楽しみーりんごをつくって」
いつも食卓にきれいに切られてお皿にのっていた、おいしいりんご。りんごは赤くて丸いと知っていたけど、じっさいに目のまえで見て、手にもってみると、知らなかったことがたくさん見えたと思う。「いがいとあなが深いな」「ソフトボールくらい大きいな」「つるつる」「かむとシャリシャリ」…。それを、ことばにして紙にたくさん書き出したね。
そして、つぎにねんどでりんごをつくってみた。あれ?思ったとおりにうまくできないな。でもそれでいい。きみたちが取りくんだことは、ものすごく大きなことなんだ。まず見ること。おどろくこと。わからないことをことばにしてみること。そして、じっさいにかたちにしてみること。エジソンだって、ダ・ヴィンチだって、ノーベル賞の先生だってみんな「なぜだろう?」からスタートした。大発見のタネは、身のまわりにたくさんあるんだよ。りんごを輪切りにしたら、すてきな☆がでてきたよ!きっとはじめて見たよね。これからも、ねんどをこねたり、絵をかいたりして、たのしいこと、わからないことをたくさん見つけてほしいな。びじゅつは、どんな国の人ともおはなしができることばでもあるのだから。
身近な自然物の代表として、りんごをモチーフにクレイ粘土でつくってみました。自然物は驚異に満ちています。観察すればするほど発見がある、美しい宝石です。しかも、近所のスーパーやコンビニで、ジュースと同じくらいの値段でいつでも買うことができる。ゲームは、人間があらかじめ答えを用意してプログラムされているけど、りんごは無限大。その楽しみも無限大です。今回は見ないでつくった想像のりんごと、実際に見てつくったりんご、ふたつつくりました。見ないでつくったりんごは、まるくていかにも果物らしい。しかし、見てつくったりんごは、予想外にまるくならなかった。こどもたちが、りんごの凹凸に反応し、苦闘した跡です。これはすばらしい成果ではないでしょうか。しかも今回は、針金で芯棒をつくって、粘土をつけていきました。お母さんのへその緒と同じ「ヘタ」から、栄養をもらって育つように、芯から肉付けしたことに意義があります。「どのように果実が実って、大きくなったのか」を想像することは、上手に"りんごらしい"表面をつくることより大切です。それは芸術の根本でもありますが、こどもたちが粘土をこねながらそれを実感して、掌で覚えてくれたら嬉しく思います。こどもたちの将来が楽しみです。
講師: | 三宅一樹(彫刻家、元本学彫刻学科非常勤講師) |
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場所: | 多摩美術大学上野毛キャンパス |
対象: | 小学1~6年生 |
人数: | 42名 |