2018年8月6日(月)
「変だぞ!? お部屋みたいだったのに 絵になった」
いつも絵を描くときは、前のほうの人を描いてから、その人に絵の具がはみださないように、後ろのもの、景色を描いていくよね。でもこの日は、景色や、ものや、人を別々に描いて、後から箱の中に、後ろのもの、前のものを考えながら、くっつけていったよね。そうしたら、今まで描いたことがないような、奥に広がった世界が描けたんじゃないかな。
普通の絵は、手前にあるものにかくれてしまった人や景色を見ようと、横からのぞきこんでも何も変わらないけど、この絵なら見ることができるし、見る位置を変えるといろいろな世界が見えて、ワクワクしたよね。最後に、箱にセロファンを貼って遠くから見ると、今度は一枚の絵に、その世界を閉じこめたように見えてこなかった?
ただ絵を描くだけじゃなくて、こんなふうに切ったり貼ったりすると、いろいろな見え方するから、
他にも試してみてほしいな。
遠くのモノと近くのモノ、見えているモノと隠れているモノ・・・。ひとつの空間にあるモノたちを一枚の絵の中に描くということは、3次元を2次元に変換する作業です。絵を少し習ったことがある人は、遠近法という手法で描いていくのですが、小さいこどもはそんなことはお構いなく、遠くにいようが、隠れていようが、そのとき感じた通りを絵にします。そのおかげで、ハッとするほど魅力的な絵を描くことがあります。学年が進むにつれて、自分の描く絵の空間の歪みが気になっていき、空間のつじつまを合わせようとします。画面に一本の地平線を描き、その上に真正面から捉えた人や木々や建物を横一列に並べるといった画一的なものとなり、こどもたちも絵を描くことがだんだん面白くなくなっていきます。
今回は「箱」という(限られた奥行・大きさではあるが)空間性を持つ額縁の中に立体の絵をつくっていくことで、3次元と2次元を行き来しながら、視点の自由さ、表現の自由さを知ってもらおうと思いました。この経験が、創作することの楽しさにつながればと思います。
講師: | 米山貴久(プロダクトデザイナー、本学教授) |
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場所: | 多摩美術大学美術館 |
対象: | 小学1~6年生 |
人数: | 35名 |