2015年8月24日(月)
あそびじゅつ「手のひらに入る大切なかたち」
─五感と時間・空間感覚を使って美術体験
(日本学術振興会「平成27年度ひらめき☆ときめきサイエンス」採択プログラム」)
今日は何をするんだろうと、疑問を抱えて、大学にやってきたみんなを迎えたものは、立方体の3種類の木だったね。日本の古い建築や彫刻によく使われている楠(クス)、成長が早く多くの建築に使われてきた杉(スギ)、そしてみんなが一生懸命サンドペーパーでかたちをつくりあげていったやわらかな木、バルサが配られた。重さも、肌ざわりも、匂いもみんな異なっていたね。木それぞれが自分を表現していたんだ。
さて、そんな木を使って何をしたのかな。課題は「手のひらに入る大切なかたち」だった。「えっ、それってなあに?」という顔を、みんなしていたけれども、説明を聞いてつくりだすと、だんだん見えてきた。お友だちのつくりだす「かたち」とまったく違う自分の「かたち」。なぜそうなるのかも考えた。結論は出ないけれど、自分のつくり出したかたちにそっとふれていると、なんだか愛おしいし、好きなんだ、このかたちが。もうずうっとずうっとふれていたい、そう思っていたね。
みんなが自分の探したかたち、つまり「大切」に出会ったとき、先生はとってもうれしかったよ。だって、きみたちは自分でかたちを見つけることができたんだから。
こどもたちが新たに外の世界にアプローチしようと試みるとき、その事象について、従来の枠組みや固定概念にとらわれず、どのように感受し、認識し、捉えるかということが重要となります。本講座は、芸術の原初的体験を通して、常識的な美術観にとらわれずに多様な方法で感受する楽しさを学び、やわらかな眼差しで世界に接し、感じ、考えることができるようになることを願って構築されました。従来の視覚主体の美術鑑賞ではなく、五感を働かせた美術の楽しみ方について考える機会になればと思います。
講師: | 海老塚耕一(美術家、本学教授) |
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場所: | 多摩美術大学八王子キャンパス |
対象: | 小学5年生~中学3年生 |
人数: | 46名 |