2012年8月4日(土)
「ことばから描く きみの国・きみの世界」
きみのことばは どんな風景・情景(じょうけい)を持っていたかな。絵に描いてみると、たくさんのイメージが生まれて、「こんなにたくさんのいろいろを ことばが持っていたんだ」とおどろかなかったかな。そして、描いた作品を見て、もっとたくさんの意味があること、感じたはず。それをみんな描いていくと、ことばが生きてくるんだよ。 だって閉じこめられていたことばは、広がって自由になるんだから。そのとき、きみの絵も変わっているよ。なぜなら絵も今までの閉じたところから開かれた場所へと移動したんだから。そんなことを、いく度も繰り返していくと、きみの辞書に すてきなことばがいっぱい詰まっていくよ。
言葉にはたくさんの意味があります。言葉にとって意味はとても大切なもの。けれども同じ言葉でも全く同じ意味で人がとらえているかというと、これは違います。そして意味には置き換えが起こります。「創造的破壊」とでもいえばよいものです。今回の講座では、ひとつの言葉を子どもが自由に選びます。そしてその言葉の意味を想像し、絵に描きます。たとえば「海」を選んだ子どもがたくさんいました。その海の描き方、表現はみんな異なっていました。当たり前といえばそうですが、海の色は青でした。空が青であるように。これがスタンダードなもののとらえ方でしょう。しかし、海は青ではないと見つけたなら、素敵ですよね。海の意味、見方、見え方が変わるわけですから。そんなことを繰り返して行ったなら、きっと子どもたちの言葉の意味、そしてイメージはふくよかなもの、そして、たおやかなものになるでしょう。今日はその始まりでした。
講師: | 海老塚耕一(美術家、本学教授) |
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場所: | 多摩美術大学美術館 |
対象: | 小学1〜6年生 |
人数: | 43名 |