2018年5月19日(土)
「木の棒に布を貼ったり、描いたり、毛糸をむすんで 不思議なタワーをつくってみよう」
枝をしっかり見てみると、おもしろいかたち、不思議なかたちをしているね。どんなところでこの木は育ってきたのかなんて考えたり、なぜ切られて目の前にあるのかなと思ったり、広葉樹なのかな、それとも針葉樹なのかなって調べてみたり、名前だって知らないから図鑑を開いて探したり、いろいろなことをしたくなる。
きみたちの目の前には何本もの木の枝が立てかけてあったね。枝ぶりもそれぞれ異なっていた。においもさまざまだったね。そのなかから何本かの枝を選んで、タワーをつくっていった。木片を打ちつけたり、色をぬったり、毛糸や布を貼ったり付けたりいろんなことをしていたね。きみたちはそこできっと、「枝さん」といろんなお話していたんだね。
最後にみんなでお外に行って、作品並べて鑑賞したね。初めての経験だったのに、それぞれ違いがあって楽しかった。そうなんだ、いろんな物や事を感じて作品にするということは、自分だけの文章をつくり出すことなんだね。だからみんないろんなおしゃべりをしていたね。お友だちのおしゃべりも聞いて素敵な世界が見えるかも。
枝は実にさまざまなかたちをしている。たくさんの枝を用意するとき、枝を選びながら、一人思わず笑みがこぼれてしまう。枝に限らず、素材というのは実に多弁で、そっと耳を傾けると、その表現力が伝わってくる。今回用意した枝は、自分の作業場の庭や大学にある木から伐採したものである。広葉樹の枝で、木には においがあることを知ってもらいたかったので、なかには楠も多く入れた。そして、そっとふれてもらうことで、木の「熱」を感じてほしかった。そう、素材の表現力を感じてもらうように講座を組み立てていった。
ゆっくり枝を探していく子どもたち、においをかぐ子どもたち、そしてそっと枝にふれる子どもたち。その様子を見ているとそこですでに表現が始まっていた。声を出して伝える子、そっと考える子、じっと見つめる子、いつまでもふれている子・・・・とさまざまだった。それからの動作も実にさまざまであり、どのようにつくり始めるかをみんな懸命に考えて、幾度も自分が持ってきた素材を眺めながら用意された素材置き場を往復していた。考えながらつくる、あるいは考えるためにつくるといったことが実践され始めたように感じた。
講師: | 海老塚耕一(美術家、本学教授) |
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場所: | 多摩美術大学八王子キャンパス |
対象: | 小学1~6年生 |
人数: | 29名 |