【2022年6月10日(金)~7月15日(金)全4回】
本講座を含む今期の演習3講座については、演習を担当する講師とは別に、理論研究を専門とする講師による講義が初回に組み込まれ、その世界を広げていきます。
それは単に実体験だけでなく、あるいは知識だけでもなく、手も頭も総動員して「もの」にふれ、つくること考えることの愉しみを享受していただきたいという美術大学ならではの想いからです。
さて、ヨーロッパなどを旅すると出会うモザイク画ですが、日本でも街並みや建築物の一部に装飾として取り入れられ、目にすることがあります。しかし、その歴史やデザインに込められた意味については、なじみのない方も多いのではないでしょうか。
第1回は、本学教授の金沢百枝さんに、ギリシャ・ローマ時代から続くモザイク文化について、年代ごとに使われた素材やガラスの起源、当時のガラスの製法などについてもお話しいただきました。
第2回からの演習では、イタリアの伝統的モザイク技法に学びながら制作を進めていきます。素材には、イタリアから取り寄せた色とりどりの天然大理石や「ズマルト」というモザイク用の色ガラスが使われます。それらをテッセラと呼ばれる小片にし、好きな大きさに加工して、ローマの伝統的なモザイク図案に倣い、並べていきました。
同じ素材を使っても、カットの形や大きさによって、まったく違う表情になるのがモザイクの醍醐味です。
伝統的な手法や歴史的知識にふれながらも、自分の手や眼でガラスという素材を感じ、モザイクで画面をつくるという体験から、それぞれに、どのような表現の可能性を感じていただけたでしょうか。