講座レポート

「世界の美術館―写真+映像そしてお話で、美術館を巡る」

【2019年9月28日~12月14日(土) 全3回】
 ※全5回の連続講座のうち、2回がやむを得ず休講となりました。

八王子キャンパスで初となる連続講座が今年、幕を開けました。「世界の美術館」と題する本講座では、誰もが一度は訪れてみたいと思う世界の美術館を取り上げ、美術研究者やキュレーターが写真や映像を用いて紹介していきます。

第1回は「エルミタージュ美術館」。本学芸術学科教授で、芸術人類学研究所所長の鶴岡真弓さんにご紹介いただきました(肩書は当時)。東西の文化・芸術のあらゆる分野の所蔵作品のなかでも、今回注目したのは"ピョートル大帝の黄金コレクション"。再生・復活のシンボルとして信仰された鹿の装飾品は崇高な佇まいで、その美しさにため息が出ます。また、世界という広い視点で眺めてみれば、同時期の日本(古墳時代)でも鹿信仰を示す装飾品等が頻繁に発掘されている事実が浮かび上がり、文化の繋がりをも感じられることが見えてきます。

第2回「オルセー美術館」は、本学情報デザイン学科教授の港千尋さんにご紹介いただきました。同館の特徴は、"パリ"という都市が生まれた時代・背景を眺められることだと言います。所蔵作品の収集対象としている1848~1914年は、大規模な都市改造を経て、我々が知る"パリ"の街並みが完成した時代。また、近代の生活スタイルが生まれた時代としても捉えられます。都市の発展の軌跡になぞらえながら作品を鑑賞してみると、新たな発見がありそうです。

最後は「フィラデルフィア美術館」。同館の学芸員で、本学共通教育教授の木下京子さんにご紹介いただきました。アメリカ独立100周年記念フィラデルフィア万国博覧会のアート・ギャラリーを前身とする同館は、1928年に現在の建物に移転しました。展示品は、移転の際に館長となったフィスク・キンバルの思想が強く反映されています。"美術を理解するためには、その国の文化を理解しなければならない"という考えのもと、各国の修道院や寺院がそのまま移築・展示されています。学芸員だからこそ知る裏話なども交えながら、ご紹介いただく回となりました。

本シリーズは、今後も続く予定です。次はどんな美術館を巡っていくのか、楽しみにお待ちください。

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