講座レポート

「型染め―型紙をつくり、作品をつくる」
柳下恵さん

【2019年4月24日~8月7日(金)全4回】

型染め―その歴史ある技術によって紋様を染め上げるためには、「型紙」の存在が欠かせません。通常、染め上げる道具としての型紙ですが、今回は、型紙そのものが持つ美しい世界にも焦点を当てていきました。

まずは、古くより引き継がれる型染めの伝統技法について映像を交えながら学びます。型紙にする紙を繊維から漉き、丈夫にするためにそれを幾枚も貼り重ねる作業、型を彫る作業、そして布に刷る作業···。ひとつの型染め作品ができ上がるためには、多くの職人による連携した作業が必要不可欠です。

型染めの成り立ちを理解したところで、実際に小さな紙に紋様をつくっていきます。錐(きり)による引彫りや錐彫り、カッターによる切込みを施していくなかで、15センチ四方ほどの小さな型紙に、それぞれの持つ素敵な世界が広がりました。でき上がった1枚の型紙も、向きを変えたり、違う色のインクで刷ることで、そこには多様な表情が生まれます。

制作に少し慣れてくると、より大きな型紙への彫りを挑戦される方もいれば、衣服やトートバッグ、手ぬぐいなど思い思いのものに紋様を刷り上げていく方も。

最終日は本格的な機材が揃う工房での作業です。それまでに学んだ技術や表現法を活かしての制作。刷り上げた布の作品ももちろんですが、型紙自体そのものも、さまざまな色のインクを含んで深みのある色味になり、「作品」として仕上がりつつあるようでした。今後また刷りを重ねていくなかで、その姿はより美しいものになっていくのでしょう。

江戸時代より続く伝統技法である型染め、その歴史をふまえながらあえて違う視点から見つめ直す。その新しい試みによって、魅力的な作品制作を皆さんに体験していただけたのではないかと感じています。

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