講座レポート

「名所図会で歩く―まだあった、訪れていない江戸名所」
海老塚耕一さん

【2019年4月18日~7月4日(木) 全4回】

江戸時代の挿絵入り"観光案内書"としておなじみの『江戸名所図会』。図会を片手にのんびりと東京を歩いていると、思わぬところからかつての情景が浮かんできます。今回は、今まで意外と歩いていなかった都内3か所を探検してきました。

まず初回に訪れたのは、目黒界隈。江戸の昔、このあたりは田畑が広がり、遠くには富士山も見える絶景の場所でした。さらに目黒不動や大鳥神社といった江戸以前からある寺社も賑わっており、江戸近郊の行楽地として多くの人が行き交っていました。今では富士山は見えづらくなっていますが、現代の建物のなかに今も変わらず寺社が数多く現存していて、江戸時代から地域に根差した賑やかな風土性が、今も変わらずそこに続いていることが伺えます。

次に訪れたのは、日本橋界隈。この辺りは、江戸時代も中心地として現代を凌ぐ程の賑わいを見せていました。図会のなかにも、燕が飛び回る薬屋の店先、雛祭りの時期の甘酒売り、空高く積まれた荷物を大八車で運ぶ人々などの様子が描かれ、当時の人々の掛け声や楽しげな会話が今にも聞こえてきそうです。
この辺り、江戸時代は職人の街として有名でした。かつて鍛治職人が集うあたりには鍛冶町、藍染職人の集落あたりには紺屋町など···現在の町名からも当時の様子が伺えます。姿かたちはすっかり変わっているようで、地図を眺めれば、そこにはヒントがたくさん隠れています。日本橋界隈にはそんな面白さもありました。

最終回は、六郷・羽田界隈。有名な川崎大師から、川崎駅付近、そして羽田空港周辺。旧東海道沿いにてくてく歩けば、当時の旅人気分に。お昼は午前・午後班合同で、羽田空港のまわりを屋形船でぐるっと周遊。波に揺られ、江戸時代の人々もこんな楽しみ方をしていたのだろうかと思いを馳せながら、ゆったりとご飯をいただく時間はとても楽しいものでした。

同じ東京でも、地域によってその在り方はさまざまですが、今回共通して感じたことは、古きを大切にしつつ、今を丁寧に生きているその街の姿でした。江戸っ子魂はいつも意外な所から顔を覗かせ、ひょんなことから私たちを今もなお楽しませてくれることでしょう。

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