講座レポート

「銅版画A―プリントの基礎」「銅版画B―直接法・メゾチント」
崔恩知さん、渡辺達正さん

【2019年4月13日(土)~6月29日(土)】

多摩美術大学の「版画工房」は、美術大学の専門学科ならではのこだわりの環境が整えられています。例えば工房の床には、水平を取った鉄板が敷かれています。プレス機で、版へ均等に圧力をかけられるようにするためです。また、黒インクも既製品をそのまま使うのではなく、真空ミキサーで調合した、深いビロードのような色合いの特製インクを自分たちでつくり、使用しています。
そんな小さなひとつひとつのこだわりが、表現をつくりあげているということでしょう。

講座「銅版画A―プリントの基礎」では、インクのつくり方から、プレス機の圧力調整など「刷り」を中心に深めました。既に彫ってある版を持ち寄り、その版の特徴を見極め、インクの詰め方を変え、刷りの圧力の調整などを試みていきます。ひとつの同じ版でも、刷り方のほんの少しの違いから生まれる、表現の振り幅の大きさに驚きます。
また後半には、紙の代わりに石膏を流し込んでインクを写しとる「石膏プリント」にも挑戦しました。紙とは一味違ったタイルのような艶のある仕上がりを楽しむことができました。

もうひとつの「銅版画B」講座では、「メゾチント」という、版を直接彫る直刻法で作品をつくりました。メゾチントは単色の背景に絵柄部分を白く削り出して、明暗の調子を表現する方法で、その繊細な階調によってまるで写真のような仕上がりにもなります。彫りから刷り、そして作品が完成するまで、そのひとつひとつの工程での変化に一喜一憂しながら銅版画の世界を楽しみました。

皆さんも是非、美大生も使う本格的な工房で、自分の表現を追い求めてみませんか。

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