講座レポート

「美術館とあそぶ 特別講座―五浦の地を訪ね、天心の眼差しにふれる」
海老塚耕一さん

【2019年3月14日(木)全1回】

太平洋を臨む地・五浦(いづら)で晩年の活動を始めた岡倉天心。彼とともに横山大観をはじめとする画家が五浦へ移住し、新たな日本画の創造を夢見ました。今回の講座では、天心自身が設計した六角堂にも立ち寄り、思索の光景を想いながら、五浦の日本画家たちの眼差しに目を向けてみました。

貸切バスで東京を出発して3時間弱、かつて天心が愛した五浦の地には、今も変わらず青々とした美しい海原が広がっていました。茨城県天心記念五浦美術館の展示物や、学芸員さんの解説から五浦の歴史を学んだところで、早速散策開始です。

まず始めに天心が大観の他、菱田春草・下村観山・木村武山らと共に画業に勤しんだ日本美術院研究所の跡地を訪れました。現在は小さな公園となっていますが、当時作家と共に多くの名作を描き上げた筆たちを供養した「筆塚」は、今もなおその姿を残しています。

昼食は、五浦観光ホテルにて北茨城名産の「あんこう鍋」などをいただきました。初めて召し上がる方も多かったようですが、野菜たっぷり、あんこうの出汁もよく効いていて、とてもおいしくいただきました。

お腹を満たしたら、散策再開です。天心と娘・高麗子(こまこ)の墓にお参りしてから、茨城大学五浦美術文化研究所を訪れました。ここには、天心の遺物、天心邸、そして天心遺跡のシンボルである六角堂があります。六角堂とは、明治時代に天心が自ら設計した建築物。ここで太平洋の波の音を聞きながら、思索にふけったといいます。目の前に広がる海原を眺めると、当時の天心の大きな志や想いに寄り添えたような気がしました。

今回は北茨城という遠方の地での1日散策講座でしたが、いかがでしたでしょうか。彼らが五浦で過ごした日々、そして当時の光景に想いを寄せながら、もう一度作品を眺めてみると、前と少し違った見え方がしませんか。この講座での体験を機に、皆さんのなかで何か小さな発見や驚きがあったのなら、とても嬉しく思います。

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