講座レポート

「20世紀―カンディンスキー〈熱い抽象〉に寄り添い、水彩で抽象画に挑戦」
海老塚耕一さん

【2018年4月25日~7月11日(水) 全4回】

「抽象」という言葉を聞いたとき、みなさんはどのようなものを思い浮かべますか。さまざまな色彩やかたちを想像されるのではないでしょうか。

この講座では、カンディンスキーの抽象画における3つの要素について考え、抽象画に挑戦しました。ものの印象を描く「インプレッション(印象)」、即興的に生まれるものを描く「インプロヴィゼーション(即興)」、そして図像を組み合わせ構成する「コンポジション(作曲)」の3つの要素を4回の講座のなかで学び、各回、質の異なる数種類の紙から選んで、水彩で描きました。

「インプレッション(印象)」は、ものが持つ雰囲気や空気感から受けた印象を絵におとし込んでいくもの。この回では、映像や音楽を鑑賞しながら描きます。音や映像、素材の質感を「五感」で感じながら思い思いに描いていくにつれ、抽象画の世界へ徐々に惹きこまれていくようでした。ただ自由に描くだけではない、抽象画への想いを新たにした、そんな時間でした。

最終回には、みなさんの描き方や色彩に変化がみられ、抽象画というもののひとつのあり方を探り、絵画の世界を楽しんでいることが伝わってきました。カンディンスキーが描いた自由な色彩や動きのある絵画は「熱い抽象」と呼ばれます。そんな「熱い抽象」を描いたカンディンスキーの思考と表現に寄り添うことでこれから抽象画を鑑賞する楽しみが増えたのではないでしょうか。

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