講座レポート

「コンピュータと銅版画―未知の出会いを探る」
久保田晃弘さん、大矢雅章さん

【2015年6月13日~27日(土) 全3回】

さまざまなものごとが電子化、また機械化されている今日、私たちの生活とコンピュータは切っても切り離せない関係にあります。コンピュータの登場は、それまで人の手や感覚を頼りに成熟してきた美術の領域で、どのような可能性を見せるのでしょうか。

本講座では、コンピュータで描き、機械で彫った版を、人の手で刷る試みに挑戦しました。グラフィックデータをカッティングマシンと呼ばれる機械に送り、自動で銅の板を彫っていきます。

コンピュータで絵を描くことに慣れていない受講生がほとんどでしたが、紙の上に手で描くときとは異なった絵や表現が生まれていました。そして機械によって彫られていく線は、手で彫った線からは生まれることのない独特な表情を見せ、出会ったことのない不思議な世界をつくり出します。

機械の中で数値として存在する絵が、物質として目の前に現れ、人の手を介して紙の上の絵になる。コンピュータとの出会いによって、自分の表現の幅がどう変化し広がっていくのか、その可能性をひとりひとりが感じていたようでした。

2016年の春期講座は、さらに改良されたマシンを使って開講します。是非、コンピュータの線による版画表現に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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