講座レポート

アトリエのにおいA「金属のつくるかたち」
小林光男さん

【2015年5月23日(土)】

大学内のさまざまなアトリエを探訪するシリーズ「アトリエのにおい」。今回は工芸学科の小林光男さんに金属工房を紹介してもらいました。

金属というと、「冷たい」「固い」「重い」といったイメージが一般的かもしれませんが、熱意をもって命を吹き込むと、さまざまに表情を変え、温かく可憐な姿へと変身すると小林さんは言います。

広い工房に入ると、色々な道具や機材が目に飛び込んできました。工房は、「絞り」「旋盤」「溶接」「鍛造」など金属加工で必要な工程ごとにスペースが分かれています。

カンッ、カンッ、カーンッと響き渡る木槌と金属の音。ちょうど「絞り」という技法を学生が行っていました。「絞り」とは、一枚の平らな板材を変形させてかたちをつくる、金属工芸では基本的な技法のひとつです。
作品にあったカーブの当金(あてがね)は、手づくりだそうです。金属加工は、場合によっては一から道具をつくらなければ、オリジナリティーのあるものは生まれません。歴代の先輩がつくって残してくれた道具を、後輩たちが引き継いで使っているそうです。

それぞれの道具や機材を講師や助手が実演を交えながら、説明した後、受講生も実体験。炉から出したばかりの熱い金属をたたき、ねじってペーパーウェイトにしました。その他、屋外で好きなかたちを見つけて、その上に真鍮や銅の薄い板を乗せ、丹念にハンマーで叩き、型取りをしました。

同じような作業をしたにも関わらず、自然と個性が表れる小品ができたのは不思議でした。加工体験を通し、金属が繊細に変化することを感じた一日となりました。

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