【2011年 秋期講座】
生涯学習プログラムでは、石彫や鍛金など、さまざまな彫刻の講座を実施してきました。
今回は、「鋳造(ちゅうぞう)」によるブロンズ彫刻に取り組み、大学での制作のほか、講師の宇野務さんのアトリエである鋳造所での鋳造見学も行い、その魅力に迫りました。
まずは彫刻のもととなる原型づくりからスタートします。
どんな彫刻をつくろうか、スケッチを重ねながら、熱して柔らかくなった蜜蝋(みつろう)を使ってかたちづくります。これが原型になります。原型完成後、石膏で「型」を取ります。
次の工程はいよいよブロンズを石膏型に流し込む「鋳造」です。大学から出て、鋳造所へと向かいます。
窯のなかでブロンズを溶かすこと1時間強、ブロンズが黄金色に輝き出します。溶けたブロンズの温度は実に1200度以上。慎重に流し込み、2時間かけてゆっくりと冷まし固めていきます。
ブロンズが手でふれられるほどに冷めたら、型から作品を取り出します。砕けた石膏の中から作品が現れるとき、それは緊張と喜びの瞬間です。
大学に戻って余分なブロンズを削り、磨きや着彩を施し、好みの味わいを加え、美しく仕上がりました。
ブロンズの魅力のひとつにはその耐久性があります。土や海のなかからも、時代を越えて作品が発見され、文明の痕跡を知らせてくれることも少なくありません。
参加された方のなかには、愛犬やお孫さんの姿など、大切な想いを重ねて制作されている方が多くいらっしゃいました。
大切なものをかたちづくり、長く残したいという想いは今も昔も変わらないのかもしれません。
作品が完成しただけでなく、ひと通りの鋳造工程を目にして「彫刻は初めて」という方や、鋳造経験のある方にとっても、充実した講座となったようでした。