2015年度 春期講座

講座番号
1215

コンピュータと銅版画―未知の出会いを探る

ふたつの異なる芸術をひとつの作品にしてみませんか。コンピュータで描いた絵やプログラムした図形を、カッティングマシンで版にし、人の手で一枚ずつ刷っていきます。コンピュータやデジタルの特性と、インクや紙といった素材との新たな出会いを体験してみましょう。

講座内容

講義―コンピュータ、カッティングマシン、版画について/データをつくり、マシンで版を彫る/いろいろな紙やインクで刷る
※パソコンを使用して制作します。

開講日 2015年6月13日~27日の土曜日 全3回
時間 13時30分~16時00分
第3回のみ13時30分~16時30分
場所 八王子キャンパス
受講料 1万2000円(材料費別途5000円)
定員 20名(抽選)
申し込み締切 5月23日必着 ※締切日を過ぎても受講可能な場合もあります。お問い合わせください。
講師 久保田晃弘[サウンドアーティスト、本学教授。さまざまな領域を横断・結合する創作を展開]
大矢雅章[版画家、本学非常勤講師。エッチングによる独特な漆黒を持つ大型銅版画を制作]

コラム 「異をもって貴しとなす」

久保田晃弘<サウンドアーティスト、本学教授>

今から40年ほど前、機械的なコンピュータと自由なアートは互いに相反するものと考えられていました。しかし今では、それらは相反するどころか、互いの特徴を活かすことで新たな表現を生み出す、切っても切れない関係になりました。

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コンピュータとアートだけではありません。人の手や自然の素材も、コンピュータや機械と比較され、どちらの方が大切だとか、優れているだとかがよく語られます。

しかし、細胞や神経でつくられている脳や身体、複雑な地球環境のなかから生まれた素材と、電子回路やソフトウェアで記述されているコンピュータは、そもそも拠って立つ原理や仕組みがまったく異なる存在です。

創造にとって重要なのは多様性です。新しい何かは、既成概念やマジョリティのなかからは決して生まれません。人間と機械、情報と物質といった異なるものをハイブリッドに結びつけていくことは、そうした世界の多様性を増すための、最も基本的で、最も大切な営みだといえるでしょう。

写真=コンピュータ版画の版(左)と作品(右)の顕微鏡写真