- 講座番号
- 3116
現代美術って、どんなもの?
展覧会に行くと、「分からない」ということでいっぱいです。見るということは、何かが分かっているから判断ができるのですが、しかしここでは「何を分かればよいのか分からない」。そんな現代美術の面白さ、楽しさを幾人の講師の視点から考えていきます。愉しみが増えるように。
講座内容・講師
- 第1回 総論 ―作ること・見ることの変容
- 海老塚耕一[美術家、本学教授。素敵なあそびとしての美術の楽しさを、制作と理論から探る]
- 第2回 マルセル・デュシャン ―現代美術の権化デュシャンの内なる19世紀
- 本江邦夫[美術評論家、本学教授。専門は近・現代美術研究。著書に『オディロン・ルドン』他]
- 第3回 岡本太郎 ―誤解の満艦飾と自分から言ったタローの道中
- 村田慶之輔[美術評論家。文化庁、国立国際美術館を経て、川崎市岡本太郎美術館名誉館長]
- 第4回 ヨーゼフ・ボイス ―ボイスの思想と作品の間
- 菅原教夫[美術ジャーナリスト。読売新聞文化部を経て、同社編集委員。『ボイスから始まる』著]
- 第5回 李禹煥 ―「もの派」誕生の真実
- 中井康之[国立国際美術館主任研究員。「もの派―再考」等、近・現代美術を主に展覧会を企画]
- 第6回 三木富雄 ―「耳が僕を選んだ」と言った男
- 峯村敏明[美術評論家、本学名誉教授・美術館館長。近・現代批評に携わる。『彫刻の呼び声』著]
- 第7回 ナム・ジュン・パイク ―サイバータウンの郵便局長
- 萩原朔美[映像作家、本学教授。演劇、文章、実験映画、写真、版画など、表現の発見を繰り返す]
- 第8回 河原温 ―時間・類・亡霊
- 平出隆[詩人、作家、造本家、本学教授。詩歌、小説、エッセイなどで言葉の多様性を探求する]
- 第9回 草間彌生 ―オブセッションと救済
- 建畠晢[美術評論家。詩人、本学客員教授。京都市立芸術大学学長、埼玉県立近代美術館館長]
開講日 | 2012年10月4日、11日、11月15日、22日、12月6日、2013年1月17日、31日、2月14日、21日の木曜日 全9回 |
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時間 | 14時00分~15時30分 |
場所 | 上野毛キャンパス |
受講料 | 1万8000円 |
定員 | 50名 |
申し込み締切 | 9月13日必着 |
本講座のみ、Eメールでのお申し込みも可能です。
必要事項を記入のうえ、下記アドレスまでお送りください。
必要事項
- 講座名「現代美術って、どんなもの?」
- 郵便番号・住所・氏名(フリガナ)
- 性別
- 生年月日
- 電話番号
- 学生は学校名・学年、本学卒業生はその旨
- 「HPをみて申し込み」と明記
コラム「現代美術—閉じることのない疑問」
海老塚耕一<美術家・本学教授>
美術館を訪れる多くの人は、作品との時間を楽しみ、その余韻に浸りながら家路につくのだろう。けれどもひとたび現代美術の展覧会に迷い込んでしまった眼差しは、すべての人がそうであるわけではないが、「分からない」という不快さのなかで鑑賞の時間を過ごすことになる。
若い頃ふたつの入り口がある画廊で個展を開いた。女性が3人おいでになり、嬉しかったのだが、その女性たちは、もうひとつの扉から、「あら、まだ工事中なのね」という言葉を残して、お帰りになった。今なら当たり前のこととしてとらえることができるのだが、その日はかなり落ち込んだ。
3人の女性にとって、そこは画廊であり、美術の制度のなかでありながら、作品は作品でなかったということである。そこには「分からない」という言葉さえ落ちていなかった。ところで、分からないことはそれほど悪いことではない。閉じることのない疑問、分からなさは、楽しい時間を与えてくれる。現代美術の作品を見る楽しさもそこにあるように思えてならない。