- 講座番号
- 3118
戦後日本美術を画家とともに歩く〈前期・後期〉
戦前、戦中を通して日本の画家はさまざまな眼差しで世界を見つめてきました。そのやわらかな、そして澄んだ眼差しが、戦後多様なかたちで開かれて、日本美術の新たな地平をつくります。そんな美術史の、今や迷路になってしまった道を、楽しみながら歩いてみませんか。
講座内容・講師
【前期】画家・池田龍雄が語る
第1回 私がなぜ画家になったのか、その理由と経緯
第2回 終戦直後の美術状況、前衛 芸術の復活
第3回 50年代、現実と芸術とのからみ合い
第4回 60年代と、それ以後の美術の変遷
【後期】ドキュメンタリスト・笹木繁男が語る
第5回 太平洋戦争と敗戦―横山大観、藤田嗣治
第6回 戦後美術の出発 ―松本竣介、末松正樹ら
第7回 平和到来と海外渡航―野見山暁治、金山康喜ら
第8回 反戦と反アカデミズム―山下菊二、中村正義ら
※ 半期のみの受講も可能。
開講日 | 2010年10月16日、23日、11月6日、20日/2011年1月15日、22日、2月5日、19日の土曜日 全8回 |
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時間 | 10時30分~12時00分 |
場所 | 上野毛キャンパス |
受講料 | 1万4400円(半期7200円) |
定員 | 30名 |
申し込み締切 | 9月25日必着 |
講師 | 池田龍雄[画家。岡本太郎らの戦後の前衛芸術運動に参加。絵画やパフォーマンス等多数発表
] 笹木繁男[ドキュメンタリスト。戦中期の美術資料総目録の作成とドキュメントに携わる ] |
コラム 作品と出会ったとき 海老塚耕一〈美術家、本学教授〉
戦後は急にやって来たわけではありません。そこには敗戦があり、戦いがあり、それを準備した時代がありました。不幸な時代のなかでも芸術は生きていました。さまざまなあり方で生き延びた芸術、それら作品の堆積、重さがあっての戦後です。
画家は「戦争画」を描きました。藤田嗣治は「戦争画制作の要点」という問題の文章を1944年『美術』5月号に発表しています。「戦争画」を描かざるを得なかった画家、自ら進んで描いた画家、拒否した画家、さまざまな画家がいます。どのような立場であれ、自らがどのような立場で表現を進めているかをきちんと表明しなければ済まなかった時代から、少なくとも解放された時代、それが戦後です。
そう、画家それぞれの眼差しが戦後の美術を作り、支えました。絵画のなかに現れた戦後を今見、考えるならば、「現在の美術はどこへ行こうとしている?」のでしょう。戦後美術の秀作と出会ったときの寂しい想いです。