近ごろでは、必要なものは選ぶ時代となりつつあります。今回の講座の課題である100色を自分でつくらなくとも、実際はチューブに入った100色の絵の具は簡単に買えてしまいます。ただ、この講座は、「色をつくる」ということに主眼（しゅがん）を置いているのではなく、自分を取り巻いている世界というのは実際にどのように成り立っているのか、なぜ好きな色や嫌いな色というものがあるのか、様々な発見と疑問と出会うことを大切にしています。そこから きみたちの「見立て」が発生し、虹の蛇になったり、グラデーションによる波のような画面が生まれたりします。この体験は、チューブの絵の具を買っただけでは分からない貴重な経験です。「つくること」が「世界に触れる」ことという感覚になってもらえたら、先生もうれしいです。