ソニー・ミュージック アーティスツ

多摩美の学生はアーティストだけではなく、マネージャーとして活躍できる可能性もある

ソニー・ミュージックグループのアーティストマネジメント会社。奥田民生、ユニコーン、木村カエラ、CHEMISTRY、PUFFY、氣志團、YUKI他、多彩なアーティスト・タレントが所属する。
https://www.sma.co.jp/
取材日:2019.11.13

第2マネジメント本部
制作2部 髙石チーム チーフ
髙石 陽二さん

アーティストのマネジメントに、
プロデュース能力や映像センスが求められる時代

ミュージシャンでアーティストの和田永(10年情報デザイン卒業)のマネジメントを担当しています。2010年に和田くんが主宰するグループ “Open Reel Ensemble” のパフォーマンスを見て惚れ込み、和田くんが多摩美卒業と同時にプロとしての活動を開始した時からずっと一緒にやっています。

アーティストの作品づくりを支え、
ビジネスとして成立させる


実は、和田くんとソニー・ミュージックとの関係は僕よりもさらに長いんです。そもそも彼が中学生の時に、新人発掘を行うグループ会社にデモテープを送って来たことが全てのスタートでした。今もそうですが、中学生からデモテープが送られて来ること自体がレアケースなので、社員の中に彼の動向に注目していた人がいたんです。その後、和田くんが多摩美在学中に『学生CGコンテスト』で脚光を浴びたあたりで、契約を結ぼうという話が持ち上がりました。部長から「君、こういうの好きだろ?」と言われて、僕がマネジメントを担当することになりました(笑)。あまり大きな声では言えませんが、正直そんなに勝算があっての契約ではなかったんですよ。僕らの業界では「アート」=お金にならない、という認識なんですね。その隠語みたいに「アート」という言葉が使われている。つまり、売れなさそうってことです。ただ僕は単純に和田くんのパフォーマンスを「かっこいい、面白い」と思った。だからマネジメントしたい、というくらいの意識しかなくて。逆に「アートって何ですか?」という感じだったんです。

アーティスト・和田永の
担当マネージャーとしての最大の使命

極論を言うと、和田くんのようなオリジナリティ豊かな表現をするミュージシャンであっても、音楽業界の既存のフォーマットに乗せて売り出せば、それなりに結果が出ると思うんですよ。ただし、たぶん「それなり」でしかない。仮に良い評価を得られたとしても、長くは続かない。数年後には世の中の需要がなくなると思うんです。これは僕の経験でも何でもなく、想像でしかありませんが。何しろ和田くんみたいなアーティストは世界に一人しかいないので、誰かと比較することはできないんです。
ビジネス的な成功を収めるために、分かりやすいポップな方向性にしたほうがいい、という意見も分かるのですが、和田くんが作りたいものを、本当にやろうとしていることを歪めないように、そのままの形で提供しながら、困らないようにお金を回す。そこがマネージャーである僕の最大の使命だと思っています。

国や行政にも能力を認められたアーティストは
和田くんだけ

自分発信の作品作りと、依頼を受けて行う仕事では全く違う気持ちで取り組んでいます。作品作りはアーティストにとって名刺代わりとなる表現活動。それを見た人が仕事をオファーしてくる。全てに自分のアーティスト活動を投下しようと思うと商売にならないんですよ。そこのバランスが大切なのですが、たぶんアーティスト自身はそのバランスを保てない。だから、僕のようなマネージャーの存在が必要になる。これは音楽に限った話ではないと思うんですよ。和田くんの場合、国や企業のイベントから結構声がかかるんです。それも、ただ呼ばれるだけではなく、「あなたのプロジェクトを使って何かやりたいので、一緒に考えませんか?」というパターン。そんなアーティスト、うちの会社には和田くんしかいない。それぐらい稀有な存在なんです。だからと言って、自分の個性を抑えて大衆に迎合するような作品作りはしないほうがいい。なぜなら行政や企業が求めているのは「アーティスト性」だからです。できるだけアーティスト性の高い作品をつくり、いろんな人に提供することでチャンスを待つ。仕事をもらう。これは古くから行われている方法ではありますが、最初からこんなことを教えてくれる人はいない。ぜひ多摩美生や、これから多摩美を目指す人は念頭に置いておいてほしいですね(笑)。

マネージャーにも映像センスが求められる時代

今は楽曲をリリースする際にプロモーション映像は必須となっていますし、視覚効果も狙えるアーティストが売れやすいと思うんです。しかし、売れているアーティストなら外部に映像制作を発注できますが、そうでなければ本人かマネージャーが作るしかない。あるいは少ない予算でも受けてくれるクリエイターを見つけるしかありません。だから、マネージャーにはマネジメント能力やプロデュース能力に加えて、映像制作の知識や経験のある人が求められると思うんです。そう考えると、多摩美の学生はアーティストとしてはもちろん、それだけではなくマネージャーとしても活躍できる可能性もあるのではないかと思いますね。

関連リンク
「AI時代を勝ち残る進路選択」和田永さんへのインタビューはこちらから

※掲載者の所属などは記事公開時のものです。