オリンパス株式会社

社会が求めるデザイン思考を
当たり前に習得しているのが強み

医療事業・科学事業・映像事業の3つの分野で、内視鏡、顕微鏡、デジタルカメラ、録音機などの光学機器、電子機器を製造・販売。消化器内視鏡分野では世界シェア70%以上を占める。
https://www.olympus.co.jp/
取材日:2018.6.14

デザインセンター
センター長
高橋 純さん
1989年|プロダクトデザイン卒

グループワークの経験を積み、
思考力が鍛えられたデザイナーは
あらゆるシーンで役にたつ

以前はデザインの仕事といえば製品そのものが中心でしたが、最近はそれ以外の、思いや考えをカタチにするという需要が増えています。例えば、製品のコンセプトを伝えるためのビジュアルやムービー、あるいはプレゼンテーションのように、オリンパスからの発信をビジュアル化するという内容です。また、デジタル化によりインターフェースの重要度が増しており、カメラであれば「きれいに撮れる」ことよりも、いかに「写真を楽しく撮れるか」が重要となっています。女性向けカメラをテーマとするなら、「かわいくて機能が簡単なものを作る」のではなく、「いまの女性たちの指向や動向を調査・分析し、それを満足させる商品をエンジニアと共に作り上げる」のが、当社デザイナーの仕事です。

柔軟で既成にとらわれない発想力がイノベーティブを生む

オリンパスのデザイナーは現状、美大系と理工系出身者が半々くらいで、それぞれの強みを活かして取り組んでいます。多摩美を含め美大出身者の強みは、柔軟で既成のものにとらわれない発想力です。そもそも、身体にカメラを入れて撮ろうという内視鏡の発想も、非常にイノベーティブですよね(笑)。「それちょっと無理じゃない?」くらいの発想がなければ新しいものは生まれないのです。
いま、社会のあらゆる業界でデザイン思考が求められていますが、昔から当社ではこの力を重視し、例えばデザイナーが他部署の会議に混じってアイデアを広げたり収束させたりといったファシリテーターの役割を担うことも行ってきました。デザイナーはユーザー本人も気づいていないようなニーズを引っ張り出すことが得意だし、イメージをスケッチで表現することができるので、あらゆるシーンで役に立つ。特に多摩美は、このようなグループワークや思考力の訓練を当たり前に授業に取り入れ、学生がそれを習得している点が大きな強みだと思います。

ポートフォリオは自分をプレゼンするための資料

私たちが求めるデザイナー像は、「主体的に行動できる人」です。チームで動くので、いろんな個性はあっていい。ですが、チームだからこそ、その中で相手を尊重しながらも自分の意見を発信し、まわりを巻き込んでいく力が必要です。そして、それを楽しめる人がいいですね。リクルーティングで重視しているのは、柔軟性や、発想の幅とそれを深める力量なのですが、先輩としてアドバイスするなら、学生はそれを意識したポートフォリオを用意すべきです。ポートフォリオは、自分が何ができるかをプレゼンするための資料。単にカッコいいものではなく、自分の力をアピールしてください。在学生もこれから入学する人も、好きなことがしたくて多摩美を選んだと思います。好きを極め、それを将来につなげるのはとても幸せなことなので、常に楽しむ気持ちで励んでほしいですね。

デザインセンター
商品デザイングループ
課長代理
戸井田 真希さん
2004年|情報デザイン卒

多角的視点を持ち、人の行動を考え
課題解決に導く学びの経験が
医療の現場に活きている

入社後はカメラ部門のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)などを経験し、3年ほど前からオリンパスの主軸製品の一つである内視鏡ビデオスコープシステムのGUIデザインを担当しています。医療の現場で、医療従事者がどう思いどう操作するのか、ワークフローを観察・分析しながら、そこにある課題をデザインで解決するのがデザイナーの役割です。特に医療の分野は専門性が高いので、実際の現場や国内外のユーザーインタビューに参加するなど、開発に深く携わります。

チームでモノづくりをする魅力を知った学生時代

多摩美時代、モノの使い勝手を観察したり、人の行動を観察しその理由を分析したりしてデザインに結びつけていく、という授業がありました。ユーザーを考えるということ。それは今の仕事に直結しており、すごく勉強になったと思います。私は高校では美術コースで、主に油絵を描くのが好きだったのですが、ちょうどインターネット普及の過渡期でもあり何か新しいことがやりたくて、情報デザイン学科を選択しました。ここで、一人ではなくチームで意見を出し合いながらモノづくりをする魅力を知り、また授業では、多角的に見る視点と、自ら課題を見つけ解決に導くことを学びました。あるグループワークの課題で、先生から提案内容を考え直すよう指導され、落ち込んだことがありました。ですが、その時のチームの一人が、「あの先生はそう言うけど、他の人はどう思うか聞いてみよう」と言った言葉に衝撃を受けたんです。これこそ、一歩引いて多角的に見る視点、人がどう思い行動するかを考えて答えを生む、ということですよね。この経験は、今の仕事への大きな糧となっています。

情報デザインはあらゆる分野から求められ活かせる力

デザインと医療って、一瞬結びつかなさそうですよね。ですが、在学中に先生がよく「目に見えないものをデザインするのが情報デザインだ」とおっしゃっていましたが、これがまさにUX(ユーザーエクスペリエンス)やサービスデザインであり、あらゆる分野から求められ活かせる力だと思います。私が多摩美で得たのは、課題を発見し、アイデア出しをするところから関われる強みと、壁にぶつかっても「なぜ?」と広げていけるタフな思考力、そしてチームで作り上げていく楽しさを知ったことだと、いま実感しています。

内視鏡ビデオスコープシステムのGUIデザイン。主に電子機器の液晶画面をデザインする。
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※掲載者の所属などは記事公開時のものです。