企業の人事担当者・卒業生に聞く/建築・インテリア・ランドスケープ

自ら考え取り組む課題スタイルが 総合的な思考力につながっている

株式会社戸田芳樹風景計画

「愛・地球博記念公園」はじめ、生物を扱う科学をベースに、大型商業施設の庭園や公園など、国内外の多くのランドスケープ(景観)を創造する。
https://gadenet.jp/todafu

2018年11月掲載


いつも通る街路樹の路や公園で誰もがほっと癒される空間をデザイン。現在は中国のプロジェクトを担当

池田 葵さん
池田 葵さん

2009年|環境デザイン卒

株式会社戸田芳樹風景計画
ランドスケープデザイナー

戸田芳樹風景計画は、施設外構や公園緑地などのランドスケープ(景観)デザインを行う会社です。ランドスケープをデザインするにはまず、その土地の歴史や特性、適した植物、周辺住民の暮らし方といった情報を解析するところから始まります。そこに施設のコンセプトや利用者の特性などを総合的に考えて、より良い空間を提案するのです。昭和大学江東豊洲病院を担当したときは、病院のコンセプトを踏まえ、病気や怪我を負った方にも優しく、さらに川沿いの立地を最大限に生かせるようデザインしました。川の方に向かってゆるやかに開けていく坂の解放感が、特に自分でも気に入っています。現在は、中国深圳で進行している大規模施設の外構部分を担当していて、中国と行き来しながらプロジェクトを進めています。

課題を選ぶ自由と主体的な取り組みが、夢を明確にした

高校生時代、将来は何かモノづくりの仕事をしたいとは思っていましたが、まだその夢は漠然としていました。とりあえず立体的なものを作りたいと考え、環境デザイン学科を選びました。ここでは建築、インテリア、ランドスケープとコースは分かれるものの、課題の選択は自由で、その都度「やりたいものは何か」を考えた上で取り組むことができました。また、各々専門の先生から意見を頂くことができたのも、貴重な体験だったと思います。その過程のなかで、「購入したりお金を払って入館したりしなくても、誰もが無意識のうちに癒されるような空間を作りたい」と、自分の夢が明確になっていったのです。

「教えてくれない教え」が今につながっている

今振り返ると、多摩美はいい意味で放任というか「教えてくれない教え」がすごく大事だったと思います。こうしなさいと言われることは決してなく、手を動かしながら自分で考え、選び取っていったことが今につながっています。私が手掛けた公園で足を止めくつろいでいる方を見ると、心の中で「どやっ!」って思っています(笑)。日常の中で、少し人の目線を変える仕掛人として、これからも心地いい空間を生み出していきたいです。

昭和大学江東豊洲病院(江東区)のランドスケープを担当。川辺へと続く解放感を生かし、ちょっと足を止めたくなるような空間を目指した。