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福市得雄客員教授(トヨタ自動車株式会社 CBO)による特別講義を開催


7月6日、プロダクトデザイン専攻の福市得雄客員教授による特別講義が行われました。現在、トヨタ自動車株式会社でCBO(Chief Branding Officer)を務める福市客員教授は、「デザインには企(わけ)があり、スタイルには意味がある」をテーマに、同社で実践したデザイン改革や戦略事例などについて解説したほか、長年にわたり培ってきたデザインに対する考え方やデザイナーとしての信念について話しました。また、次代のデザイナー像にも言及し、聴衆の学生たちに向けて数々の熱いメッセージを送りました。講義後には福市客員教授自ら約5時間をかけて運転してきたトヨタの新型タクシー『JPN TAXI(ジャパンタクシー)』の展示見学も行われ、参加した学生たちは目を輝かせていました。

自分のデザインが必要とされる、唯一無二の存在に

本専攻の卒業生でもある福市客員教授はトヨタ自動車株式会社で40年以上にわたりデザイナーとして活躍、デザイン本部本部長、レクサスインターナショナルプレジデントなどの役職を経て、現在はCBOとしてトヨタおよびレクサスのブランディングに携わっています。この特別講義は客員教授に就任した2015年度から毎年行われており、4回目となる今回は本学学生など約50人が聴講しました。

福市客員教授はトヨタブランドのイメージアップのために取り組んだデザイン改革について、その概念やプロセスを具体的に解説したほか、経営陣の信頼を得るために提示したデザインの実例を挙げ、「良いところをPRするだけではなく、どう見せたいのかというビジョンをしっかりと持ち、それをビジュアル化するための手法を自分で開発しなくてはならない」と話しました。また、次代のデザイナー像について、「いまやコンピューターがあれば誰でも上手くかつ正確に描くことができる時代。これからはリアルに描けるか否かではなく、発想をどれだけ高く、幅広く、豊かにすることができるかが重要になる」と述べ、独自のアイデアを創造することの大切さを説きつつ、「10年後を具現化できるのはデザインだけ。自分のデザインが必要とされる唯一無二の存在になってほしい」など、数々の熱いメッセージを聴衆の学生たちに送りました。

講義後はトヨタ本社のある愛知県から福市客員教授自ら約5時間をかけて運転してきたトヨタの新型タクシー『JPN TAXI(ジャパンタクシー)』を見学。外観や色などのデザインの狙いや高齢者や車いす使用者などさまざまな人が利用しやすいように工夫された仕様についてご説明いただきました。

電動化、コネクティッド、自動運転などの著しい技術の進歩により、100年に一度の大変革の時代を迎えている自動車産業において、世界市場でチャレンジを続ける福市客員教授のお話に学生たちは熱心に耳を傾け、一つひとつの言葉を真摯に受け止めていました。